
工場や事業所で使用している業務用エアコンや冷凍設備には、「フロン点検」の実施が法律で義務付けられていることをご存じでしょうか。
しかし現場では、
・昔設置した業務用エアコンがそのままになっている
・フロン点検をした記録が残っていない
・そもそも点検が必要なのかわからない
といったケースも少なくありません。
特に浜松エリアは製造業が多く、工場内には業務用エアコンやチラー、冷凍機、冷蔵設備など、フロンガスを使用する設備が数多く設置されています。
こうした設備は、空調機器の漏えい点検と適切な管理が必要です。
本記事では、
・フロン点検が必要な理由
・点検しない場合のリスク
・フロン点検の義務内容
・定期点検の流れ
について、わかりやすく解説します。
工場や事業所の設備管理を担当している方は、ぜひ参考にしてください。
- 1. フロン点検とは?なぜ義務化されたのか
- 2. フロン点検の対象となる設備
- 3. フロン点検をしない場合の5つのリスク
- 3.1.1.1. ① 空調設備の故障リスク
- 3.1.1.2. ② 生産ラインへの影響
- 3.1.1.3. ③ 電気代の増加
- 3.1.1.4. ④ 突発的な修理費用の発生
- 3.1.1.5. ⑤ 法令違反・罰則のリスク
- 4. フロン点検の義務内容(簡易点検・定期点検)
- 4.1.1.1. ■簡易点検(3か月に1回以上)
- 4.1.1.2. ■定期点検(専門業者による点検)
- 5. フロン点検(定期点検)の流れ
- 6. フロン点検(定期点検)を専門業者に依頼するメリット
- 7. 浜松でフロン点検を依頼するなら
フロン点検とは?なぜ義務化されたのか
フロン点検とは、業務用エアコンや冷凍設備からフロンガスが漏れていないかを確認する点検制度です。
これは「フロン排出抑制法」によって、事業者に義務付けられています。
フロンガスは、もともと冷凍・空調設備の冷媒として広く利用されていました。
しかし、初期のフロンガスはオゾン層を破壊する性質があることが分かり、使用が規制されるようになりました。
その後、オゾン層を破壊しない代替フロンへ切り替わりましたが、今度は強力な温室効果ガスであることが問題となりました。
こうした背景から、フロンガスの漏えい防止と適正管理を目的として「フロン排出抑制法」が制定されました。
この法律では、業務用冷凍空調機器の管理者に対し、フロン漏えいを防止するための管理義務が定められています。
主な管理義務は以下の通りです。
・点検記録の保存
・フロン点検の実施
・フロン漏えいの管理
・一定量以上の漏えい報告
つまり、業務用空調や冷凍設備を所有する事業者には、設備を適切に管理し、フロン漏えいを防ぐ責任があります。
しかし実際には、設備を導入した担当者の異動や退職などにより、管理義務が十分に引き継がれていないケースも少なくありません。
今回は、フロン排出抑制法で求められる事業者の管理義務の中から「フロン点検」に焦点を当てて解説していきます。
フロン点検の対象となる設備
フロン点検の対象となるのは、「第一種特定製品」と呼ばれる、フロンガスを冷媒として使用している業務用の冷凍・冷蔵・空調機器です。
一般家庭用のエアコンや冷蔵庫は対象外ですが、工場・事務所・店舗などで使用されている業務用設備の多くは対象となります。
代表的な設備は以下の通りです。
【空調設備】
・業務用エアコン
【産業空調設備】
・チラー(冷却設備)
・恒温恒湿設備
・産業用除湿機
【精密空調設備】
・クリーンルーム設備
【冷凍・冷蔵設備】
・冷凍機
・冷蔵・冷凍ショーケース
特に工場や研究施設では、製造設備や品質管理設備の一部として空調設備が組み込まれているケースも多く、
点検対象機器であることに気付いていない場合があります。
また、中古工場を取得した場合や設備台帳が整備されていない場合は、
対象設備の把握ができていないケースも少なくありません。
「どの設備が対象なのかわからない」「点検記録が残っていない」といったご相談も多くいただいています。
不明な場合は一度確認することをおすすめします。
フロン点検をしない場合の5つのリスク
フロン点検を実施していない場合、企業にとって以下のようなリスクがあります。
① 空調設備の故障リスク
フロン漏えいは、空調設備や冷凍設備の性能低下や故障の原因となります。
フロンガスが不足すると冷却能力が低下し、設備に負荷がかかることでコンプレッサー故障や空調停止につながる場合があります。
また、小さな漏えいを放置することで故障が拡大し、修理費用や復旧期間が大きくなるケースもあります。
② 生産ラインへの影響
工場や研究施設では、チラーや恒温恒湿設備、クリーンルーム設備などが製造環境を支えています。
フロン漏えいによる設備性能の低下や故障が発生すると、温度・湿度管理や冷却能力に影響を及ぼし、生産停止や品質不良につながる可能性があります。
特に、温度や湿度の管理が重要な製造工程では、わずかな環境変化が製品品質に影響を与える場合もあるため注意が必要です。
③ 電気代の増加
フロンガスが不足すると、空調設備や冷凍設備は設定された温度を維持するために、通常より長時間運転するようになります。
その結果、設備効率が低下し、消費電力の増加や電気代の上昇につながる場合があります。
フロン漏えいは設備故障だけでなく、気付かないうちにランニングコストを押し上げる原因にもなるため注意が必要です。
④ 突発的な修理費用の発生
フロン漏えいを放置すると、冷媒の補充だけでは済まず、コンプレッサーや熱交換器などの主要部品の故障につながる場合があります。
故障の内容によっては高額な修理費用が発生するだけでなく、設備の更新が必要になるケースもあります。
定期的な点検によって早期に異常を発見することで、突発的な故障や予期せぬ設備投資のリスクを低減することができます。
⑤ 法令違反・罰則のリスク
フロン排出抑制法では、機器の管理者である事業者に対し、簡易点検や定期点検の実施、点検記録の保存などが義務付けられています。
これらの義務を怠った場合は、行政による指導や勧告、命令の対象となる可能性があります。
また、命令に違反した場合には、50万円以下の罰金が科されることがあります。
近年は企業のコンプライアンスや環境への取り組みも重視されており、フロン管理は法令遵守だけでなく、企業の社会的責任という観点からも重要になっています。
フロン点検の義務内容(簡易点検・定期点検)
フロン排出抑制法では、「第一種特定製品」の管理者に対し、フロンガスの漏えい防止と適切な管理を行うことが求められています。
主な管理義務は以下のとおりです。
■簡易点検(3か月に1回以上)
「第一種特定製品」の管理者は、機器の規模にかかわらず、3か月に1回以上の簡易点検を実施する必要があります。
つまり、前章でご紹介した対象機器は、規模の大小に関わらず簡易点検の対象となります。
簡易点検とは、機器の管理者が実施する点検です。
点検は、メーカーや管理会社が作成したチェックシート等に基づき、定期的に実施します。
主な確認項目は以下の通りです。
・異音
・異常な振動
・油漏れ
・冷えが悪い
・熱交換器の汚れ
・霜付き
などを目視で確認します。
また、点検結果は記録として保存しておくことが必要があります。
なお、一定規模以上の設備については、簡易点検に加えて定期点検も必要となります。
■定期点検(専門業者による点検)
すべての第一種特定製品に簡易点検義務がありますが、一定規模以上の設備については、有資格者による定期点検が必要となります。
定期点検では、専用機器を使用してフロン漏えいの有無や機器の運転状況を確認します。
主な点検項目は以下の通りです。
・フロンガスの漏えい確認
・冷媒配管や接続部の点検
・圧力や温度などの運転状況確認
・機器の異常有無の確認
定期点検の結果についても記録し、保存しておく必要があります。
※法令上必要な点検頻度は、機器の種類や能力によって異なります。
| 機器区分 | 圧縮機の定格出力 | 点検頻度 |
|---|---|---|
| 冷凍冷蔵機器 | 7.5kW以上 | 1年に1回以上 |
| エアコンディショナー | 50kW以上 | 1年に1回以上 |
| 〃 | 7.5kW以上50kW未満 | 3年に1回以上 |
※冷凍冷蔵機器には、別置型ショーケース、冷凍冷蔵ユニット、冷凍冷蔵用チリングユニット等が含まれます。
※エアコンディショナーには、大型店舗用エアコン、ビル用マルチエアコン、ガスヒートポンプエアコン等が含まれます。
また、工場で使用されているチラーや恒温恒湿設備、クリーンルーム設備なども、用途や能力によって定期点検の対象となる場合があります。
同じチラーでも、空調用か生産設備用かによって取り扱いが異なる場合があるため、対象かどうか不明な場合は専門業者へ確認することをおすすめします。
フロン点検(定期点検)の流れ
定期点検は、有資格者が対象設備の状態を確認し、フロン漏えいの有無や機器の異常を点検するものです。
一般的な定期点検は、以下のような流れで実施されます。
STEP1 対象設備の確認(専門業者)
- 対象機器の有無
機器の型式や銘板・仕様書による圧縮機出力の確認 - 設置年度や前回の点検時期の確認
- 設置台数や設置場所の確認
STEP2 現地での点検実施(専門業者)
有資格者が現地を訪問し、定期点検を実施します。
専用機器を使用して、フロン漏えいの有無を確認するとともに、機器の運転状況や異常の有無を点検します。
- フロン漏えい検査
- 圧力測定
- 機器の状態確認
などを行います。
STEP3 点検結果の報告(専門業者)
点検結果の報告書や点検記録簿を作成し、点検結果を記録・報告します。
フロン漏えいや機器の異常が確認された場合は、必要に応じて修理や改善を検討します。
STEP4 点検記録の保存(管理者)
フロン排出抑制法では、点検記録の保存が義務付けられています。
簡易点検・定期点検ともに、記録簿は機器を廃棄した後も3年間保存する必要があります。
また、修理やフロンガスの充填・回収を行った場合は、その内容についても記録し、適切に管理・保管することが必要です。
フロン点検(定期点検)を専門業者に依頼するメリット
定期点検は、有資格者が在籍していれば自社で実施することも可能です。
しかし、実際には専門業者へ依頼する企業が多く、以下のようなメリットがあります。
① 対象設備や点検時期を正確に把握できる
設備の用途や能力によって点検義務の有無や頻度が異なるため、専門業者へ依頼することで適切な管理が可能になります。
② フロン漏えいや設備異常を早期発見できる
専用機器や専門知識を活用し、異常の早期発見につなげることができます。
③ 点検記録や法令対応を適切に管理できる
点検記録簿の作成や保管方法についてもサポートを受けることができ、法令対応の負担軽減につながります。
④ 修理や設備更新の相談ができる
フロン漏えいや設備の劣化が見つかった場合も、修理や設備更新について継続して相談することができます。
浜松でフロン点検を依頼するなら
工場や事業所の空調設備は、施設ごとに設備構成や運用方法が異なります。
そのため、フロン点検を適切に実施するためには、対象設備の確認から点検計画の立案、法令対応までトータルで管理することが重要です。
東海サーモエンジニアリング株式会社では、浜松市を中心に静岡県西部エリアで、
・一般空調
・産業空調
・精密空調
など、製造業向け空調設備を多数手掛けています。
フロン点検の義務対応はもちろん、対象設備の確認、点検記録の管理、フロン漏えい時の修理や設備改善までワンストップでサポートいたします。
「自社設備が点検対象かわからない」「定期点検の時期がわからない」など、フロン点検に関するお困りごとがございましたら、お気軽にご相談ください。
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